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桜井盛二先生を偲びて
木村 英雄
pp.27
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202359
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桜井先生,先生の盛大な葬儀に参列して最後のお別れをしてから間もない今日,こうして想出の一端をつづることすら何かそらごとのように思われるほど今なお私の心に先生は生きておられる。
人間の最も大きな責任の一つに「立派な死」があると云われておりますが,つくづくとその意味が理解出来てまいりました。先生のように永く後世まで生き残る死に方が果して自分にも出来るだろうかと考えると,いささか淋しく思います。先生をお知りしたのは「医療団病院」と云っても,小料理屋を改造した診療所としても整備し難い貧弱な姿の加茂病院を県立移管についての問題からでした。そして県立移管と同時に新築移転の計画に着手したものでしたが,病院を持ったこともなく,従って病院を知らない県当局をして今日の加茂病院いな,全県立病院を今日に在らしめた先生の業績は永久に忘らるることなく,今後の発展の基礎を作られたこと,何日かの日「加茂病院の完成が終生の仕事」だと言われたことによっても,なみなみならぬ先生の決意のほどが今にして良くわかります。
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