病院長プロフイル・72
桜井盛二氏—新潟県立加茂病院長
pp.206
発行日 1960年3月1日
Published Date 1960/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201630
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新潟県加茂市は人口四万数千の小都市で,新潟市へは汽車で1時間の距離.一般には家具製産で知られ,年賀ハガキの特賞桐ダンスも此処で作られた.県立加茂病院はベツト数170,県立病院中規模中位の小綜合病院である.
この病院は元料理家を医療団奨健寮に転用したもので,県移管になるや一般病院となり,従つて昭和24年末から移転新築の計画起り34年度,看護婦宿舎と準看護婦養成所を円型鉄筋三階建に完成する迄この間10年,恰も近代病院管理の黎明期に当り,小病院とはいいながら敷地の選定から完成迄遺憾なく氏の手腕を発揮する事が出来た事は氏の苦心もさる事ながら,現在病院の管理者としての確固たる自信と将来への基盤を植えつけた所以であろう.とは云え数年前迄は,医事,看護業務,洗濯,果ては看護婦宿舎の雨漏りまで自ら陣頭指揮をされて居た様子,職員もその為に苦労した様に見受けられた.一体理論家である院長が陣頭指揮をとられる事は,ややもすればいわゆるワンマン院長であり勝ちであるが,氏の場合は皮層の見方で当らない.氏は陣頭に立つて研究された期で,病院管理が一時の付焼刃的に,2年や3年で身につくものでない事を見透されて居たのである.昨年の病院学会に「病院の庭園」と云うテーマをカラースライドで発表注目されたが,これも実は10年前病院建設時からの方針と研究であつた事は誰も気がつかず,スライド製作も氏の趣味の一つ位に考えて居たが,カラー趣味は研究手段であつたのである.
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