追悼
故荒木先生を偲んで
景山 直樹
pp.858-859
発行日 1976年9月1日
Published Date 1976/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203933
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荒木千里先生は,去る7月2日午前9時5分,先生が一生をかけて築れた京都大学脳神経外科教室の一室で,多くの弟子達の懸命の看護も空しく,75年の生涯を終えられた。主たる病変は脳軟化症である。
先生が恩師鳥潟隆三先生から脳外科を勉強するように云われたのは,昭和11年のことで,当時アメリカでは近代脳外科の開祖であるHarvey Cushingの脳外科大系がようやく確立されつつあった時期である。この頃荒木先生は約2年にわたり,Cushing,Dandy,Bailey,Horrax等の近代脳外科を確立した人々の所をつぶさに見学され,多くの脳外科についての知識を日本に持って帰られ,斎藤眞,中田瑞穂,清水建太郎教授らと共にアメリカ流の脳外科を日本に植えつけられることになった。その後も脳外科の子弟を多く育てられると共に,上記諸教授と共に日本脳神経外科学会の設立に力を尽され,今日の隆盛な脳神経外科学会をつくられたのである。
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