病院管理講座 実務編・5
病院ハウスキーピング—その実務と考察
井上 貞子
1
1聖路加国際病院
pp.75-78
発行日 1963年5月1日
Published Date 1963/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202124
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はじめに
著しく医学が進歩した今日,病院ハウスキーピングに対する必要性と興味は,それと並行して深まってきた。私は戦前一看護婦として聖ルカ病院に勤務していたが,その折外人ハウスキーパー(ミス・ハーバート)から,主任ナースの会合や病棟での接触のたびごとに,実務をともなった指導を受けてきた。20数年後の現在,私は,この方面でもっとも理解ある橋本院長のもとで,当時の教えを思い出しながら,日夜実務に励んでいる。そして今,種々の経験から,私は一つの大きな収穫を得た。医学がすばらしい進歩を見せたとはいえ,ハウスキーパーの仕事に関しては,常に注意深く,人間関係を大切に,私事を忘れての熱意と責任を持ち得る人,つまり完全な人間性をそなえていなくては不可能だということである。
戦後,原素行先生,守屋博先生の御熱心なる御研究があずかって,今日,ハウスキーピングに,完全な理論的解明,また実務上の解明がなされているが,個々の病院においても徐々にこの研究によったハウスキーピングが実施されつつある。私は,私自身の経験から,ハウスキーパーと病院内での位置と関係とを許される範囲において述べてみたいと思う。
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