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病院職種の社会心理的構造にふれる
原 素行
1
1早稲田大学診療所
pp.851-852
発行日 1960年11月1日
Published Date 1960/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201734
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ある日の院長と用務員長との対話
もう一昔も前のこと,ある日,何かの用事で,院長室に来た用務員長が,帰りしなに,こう云つた。「この節の院長は,昔の院長と違つて,何からかにまで,大変なお仕事ですナー」この話に,筆者は,ついつられて,「病院の全責任を負わされているんでネー」と,思わず云つてしまつた。このとき,最高責任者だの,全職員を指揮監督するとか,古いお役所病院の規則に書かれていた官僚的な言葉を用いなかつた。それが,意外にも,大いに役に立つた。
--患者が来る。受付ける。診療する。入院の必要があれば,そのような取扱いをする。調理場の仕事もあれば,ボイラーに火を焚かねばならないし,それから掃除もネー。何にもかも,患者の世話に一連の関係があるので,兎も角,院長となれば,全責任者だからナー。だが,到底一人では,やりたくとも,出来ない相談で,また院長は神様でもないし。だから,職員が分担してくれて,やつて行けるのサ。君だつて掃除をしたり……--
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