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あとがき
吉田 幸雄
pp.866
発行日 1960年11月1日
Published Date 1960/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201738
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- 文献概要
本号の巻頭には,島内教授の第10回病院学会特別講演の原稿を載せることができました。同教授は,教室開設以来,病院の本質である医療の本質を究める努力を続けられているユニークな存在であるととは衆知の事実であるが,その医療を中心になつて行なう医師の本体の究明についても,最も真摯な研究業績を発表して来られた。今回の学会で「病院人事の特徴」と題する特別講演を課せられたことも当然である。最近各地で病院の労働争議が行なわれるようになり,経営者側は戦々兢々の様子も見られるが,人事管理の要諦は「人を知る」ことから始められねばならない。この点からもベールをはがされた日本の病院人事の立体像を見せて頂いたことを感謝しなければならない。それにつけても日本の病院人事がいかに不合理な前時代的な背景によつてでき上がつているかを知ることができるが,しかしこれを改善することは,他の病院をめぐるいろいろな制度の合理化にも手をつけねばならないから,一朝一夕で合理化を望むことはできないだろうが,少なくとも病院の管理者側は,この事実を十分認識して,その「人間」によつてでき上がる病院内の人間関係を調整し,融和せしめなければならないだろう。
同教室の前田氏の「病院医師の人事に関する調査研究」は,本号をもつていよいよ完結する。長い間,ぼう大な調査から,いろいろと大切な資料と見解をお示しいただいたことを読者に代つて厚くお礼申し上げます。
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