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あとがき
K
pp.64
発行日 1956年5月1日
Published Date 1956/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201104
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山野のみどりが清々しく目に映ずる時候となつた。長い冬にとざされていた北の国では,梅,桜,桃の花が一せいに妍をきそい,四季を通じて最も色どりの豊な時季である。病院ではボツボツ患者が増し始め忙しくなる時期でもある。
近年程医療問題が世間で騒がれたことは曽つてないことであろう。就中この半年ばかりは国会を中心に国の政治を大きくゆすぶつた。今や医療問題は医学的処理だけでは解決できない段階に到達し,社会的,政治的処理を併せて必要とするようになつて来た。医療機関の中枢的存在を占める病院が,この間にあつて如何なる役割を果して行くべきか,一つの命題である。戦後満10年を経過し,いろいろな点で一時期を画すべき今日,この山積した医療問題を抱えて今後如何なる方向へ医療行政の舵をとられるべきかということは,今後における病院の使命と不可分の関係をもつてくる筈である。5月雨煙る一夕過去及び現在を通じ医療界のベテランの方々にお集まり願つて,将来の医療行政を卜して頂いた。
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