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あとがき
K
pp.76
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200907
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今年ももう余すところいくばくもなくなつた。年の暮が近ずくと誰しも過ぎ来し方をふり返るのが常であるが,指折数えるまでもなく今年は国の内外をとわずセンセーシヨナルな或いエポツクメーキングな事件が余りにも多過ぎたと感ずるのは,独り編集者のみであろうか。水爆事件は,新聞雑誌等がよくやる十大事件などで必ずや首位を占めるテーマであろうが,その舞台に我が国が選ばたれということは,広島,長崎以来重ね重ね余りにも悲痛な廻り合せであつた。洞爺丸,相模湖の水難事件は今日尚我々の記憶に生々しい。飜つて我が医界の現状は医薬分業を廻つて沸き立つている。来年は終戦後丁度10年目になるが,この辺で年貢納めをして,清新な気分で新しい一歩を踏み出したいものである。
前号では,今春ジユネーヴで開催されたWHO総会記事を代表として,出席された与謝野都衞生局長に紹介して頂いたが,今回はこの秋マニラで開催された西太平洋地域委員会の紹介を厚生省の曾田医務局長にお願いすることとした。これにより今日我が国で問題になつていることが,矢張り他の国々でも多かれ少かれ考えられている,ということが分る。予防医学と治療医学は区別されるべきではないということが云われてもう大分になるが,後進国の多い西太平洋地域では今日尚一番大きな問題であつたらしい。衞生行政という現実の場に立つと担当機関の在り方が及ぼす影響が最も大きい。
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