--------------------
あとがき
K
pp.70
発行日 1956年7月1日
Published Date 1956/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201126
- 有料閲覧
- 文献概要
社会保険で完全看護,完全給食の加算を入院料に認めたのは6年前,更に寝具設備を認めて3年になる。これらの加算は事実上入院料に格差を設けたものであるが,これがわが国の入院サービスの向上に拍車をかけたことは事実だ。併し元来こういう無形に近いサービスというものは,数字に表わしたり,物差で計つたりし難い性質のものだから実際の承認に際しては種々の困難を伴うことは想像に難くない。それで最近保険局ではこれらのサービス内容について細かい条件を並べた承認基準案なるものを作つた。これに対し施設側から早速批判の声が上つている。当局側が余り細かい条件をつけると折角伸びつつある入院サービスの腰を折る恐れがある。かと云つて承認を甘くすると真面目にやつている病院がバカらしくなる。本来は実際にサービスをうけている患者自身でなければ分からないものを客観的に判定しようという所にむずかしさがある。併し本当は患者にも判断の能力はないのだから,結局は施設側の良識にまつより手はないということになろうか。英国の病院では,病床不足に悩み乍らも看護職員の不足を理由に遊ばせている病床が決して少くないという。併し患者に配してある看護職員の数はわが国の完全看護を遙かに上廻る。若しこれがわが国だつたらこんなバカな?ことはしないであろう。両者の考え方の相違に興味がある。
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.