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あとがき
K
pp.66
発行日 1956年6月1日
Published Date 1956/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201115
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- 文献概要
第6回日本病院学会は初めて東京を離れ,大阪において開催されたが,予期以上の盛会を極め御同慶に堪えない。これ偏えに佐谷学会長を戴く大阪病院協会の各位による周到且熱意のこもつた企画と運営に基くものであるが,演題は例年の1倍半に及び,参会者は堂に溢れるという盛況振りは,わが国の病院管理学研究が如何に盛んになつて来たかを実証して余りあるものと云えよう。当日の演説内容及び学会の実況は本誌8月号において特集の予定である。
戦後のわが国の特異な現象の一つとして,彼地此地に病院が雨後の筍の如く設立され,一種のブームを形成した感がある。病院を造るということは,たとえそれが小さなものであれなかなか大変な事業である。単に一つの建物を造るというだけでなく,一つの機能として完成せしめなければならないからである。○○ビル○○会館の設立とは同日に論じ得ない所以だ。いわんや病院研究の余り盛んでない時代に病院を一つ造るということは大変な難事業であり,時としては非常な冒険をさえ伴つたに違いない。今日尚隆々と栄えている古い病院で,創立当時余り一般に知られていない幾多のエピソードに飾られた病院が少くないことと思われるが,これを記録に止めておくことは大切なことと思われる。こうした意図から,本号では坂口先生を煩わして東京警察病院の創立当時を偲ぶこととしたのである。
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