特集 伝票制度の研究
病院会計帳票について—山村氏の論文に答えて
尾口 平吉
1
1新潟県立十日町病院
pp.31-39
発行日 1953年10月1日
Published Date 1953/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200706
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1.病院移管の近代化と企業会計
病院経営は最近にいたるまで極めて非科学的非合理的であり,産業革命前の工業界のようにその規模も小さく——ベツト数は多い病院でも業務は単純であつた——家内工業的経営方法がとられていた。近時病院管理の研究とその改善は急速度に全国に普及されているが「病院が傷病者に科学的で適正な診療をなすために」その組織と運営は益益複雑となり経費も医療内容と向上と相まちいちじるしく昂騰してきた。この経費を賄う財源については,そのことの善惡は別として一応固定以外の殆どの病院が診療取入に依存せざるを得ない状況にある。診療収入を支配権社会保険診療報酬の低額据置は勿論不当であるにしても,国民の医療費負担能力の限界をも考えるとき,病院経営についても最小の費用で最高の効率をおさめると言う経済原則を適用せざるを得ない。
この原則を適用し複雑化した組織を有機的に高能率的に運営,管理するためには,経営の科学化近代化を行わなければならない。このことは,好むと否とにかかわらず病院経営に企業の経営技術を大巾に導入しこの力を利用することとなる。
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