講座 「修正病院会計準則」について・2
会計公準と会計原則
針谷 達志
1
Satoshi HARIGAI
1
1厚生省病院管理研究所
pp.430-431
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208019
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病院財務会計制度
今日,病院の建設や運営には多額の資金が必要である.所有者の資金のみでこれが充足されることはほとんどなく,多くの病院は長期借入金その他各種の債務を負っている.投入されるこれらの資金は,現在では広く社会的な資金といってよい.また,投入されるのは必ずしも現金とは限らず,各種の資産の形態をとっていることも多く,労働として提供されることもある.病院は,社会から各種の資源の投入を受けて活動するが,同時に,当然,社会から資源の投入に見合う効果を期待されることになる.会計報告は,病院が外部関係者(もしくは社会)から受託したこれらの資源を運用した経済的結果を示して受託責任を明らかにするとともに,より積極的には外部関係者が資源の投入を続行するか中止するかなどに関する意思決定に役立てることを目的としている.この会計報告が適正さを欠くときは,関係者は適切な意思決定はできない.
一般に,経営体の外部関係者に対する会計報告は,それが適正さを欠くときは内部の関係者に対する報告より社会的影響が大きいといってよい.経営体の外部にいる者は,提供される情報によってしか,その経営体の活動に対する判断を下すことができない.もし,経営体の業務や財務活動について,誤まった情報の提供を受けるときは,それが故意か偶然か,能力不足によるかは別として,外部の関係者は多大の不利益を受けざるを得ない.
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