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病院斷想
大川 秀吉
1,2
1毎日新聞
2厚生省記者會
pp.21-23
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200455
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Ⅰ
病院は"病人のホテルである"—という言葉を最近,よく聞くようになつた。これはアメリカあたりの病院のあり方が,患者本位にできていて,ホテルに泊つたときのように,サービスもゆき屆き,よく面倒をみるので,患者としても,どこかの國のように,ちつとも"幽閉感"などを感じることなく,のびのびと療養ができるようになつてるからに違いない。
私はいま"幽閉感"といつたが,日本の病院のすべてに幽閉感があるといつたのではなく,もしそんなものがあるとすれば,むしろわれわれ患者側にあることをいいたいのである。それは,なぜだろうか。理由は,極めて簡單である。これを一口にいえば,日本の患者は"貧乏"だということである。日本の患者が貧乏だということは,日本人の收入が低く,生活水準が戰前の75パーセントあたりを,いまだに彷徨しているということに關係がある。
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