とびら
あるセラピストの断想
大塚 欣壮
1
1北海道立札幌整肢学院
pp.9-10
発行日 1971年2月9日
Published Date 1971/2/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100392
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理学療法士・作業療法士の職業上の行動の場は,医学的リハビリテーションにあるが,肢体不自由児の療育とか,成人障害者の社会復帰というような‘医学的’のみでない多相の命題をかかえたリハビリテーション・チームのスタッフであることは,いまさら言うまでもない.理学療法・作業療法という治療行為の対象として障害者(児)をうけいれるときにも,検査・評価・目標設定・治療というわれわれの作業の流れにおいても,関係分野との間で相互にそれぞれの延長を包容しあうことができなければ,リハビリテーションのポテンシャルを失墜させてしまうだろう.
われわれは,すでに牧歌的な―そして苦渋にみちた―PT・OTの原野からは訣別したはずなのだが,無気味な貧困を負った史的背景のもとに,環境あるいは学問の世界の変動の波にあらわれている.産業構造の変革や情報化革命の流れとともに,多方面で伝統の壁が破壊され,説明も予測も法則の探究もどろまみれの不安に満ちているかにみえる.関係分野の各種の考え方とその変幻は,リハビリテーションにおける人間像の変遷すら必然であるかのように思わせる.
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