病院の広場
新春断想
美甘 義夫
1,2
1第16回日本病院学会
2関東中央病院
pp.14-15
発行日 1966年1月1日
Published Date 1966/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202752
- 有料閲覧
- 文献概要
- サイト内被引用
最近,日本においても病院の新築や改築増築が盛んに行なわれ,外観的には近代病院の様相を示すものが少なくないようである。これは本病院学会の強い主張やたゆまぬ努力の方向が実現しつつあるものとして慶賀すべきである。しかし病院は外観や建物ばかりでなく,内容と運営がより重要であることも申すまでもない。いわゆる公的病院の開設者たちは,立派な外観を持つ病院の建物を作ることには理解が深く,予算の獲得も比較的容易であるが,運営費具体的には建物補習や維持のための予算はしぶられ勝ちで,十分な額を望めない傾向がある。これでは近代建築の維持は困難である。
国・公立病院以外では独立採算原則が適用され,建物の原価消却費が課せられる。現在の保健医療費では原価消却費は計算にはいっていないのではなかろうか。開設者が病院を開設することは,地域社会の福祉に貢献する所以だと考える雅量を持ってもらいたいものだ。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.