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手近な無錢サービス
庄村 英四郞
1
1國立都城病院庶務課
pp.29-31
発行日 1951年6月1日
Published Date 1951/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200338
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病院から診療という面を取つてしまつたらあとに殘るものは,受付,看護,給食,洗濯,清掃或は會計といつたような部門であつて,どれもがホテルの仕事と同じであると言われているが全くその通りである。ホテルとしての仕事と言うのは取りもなおさすサービス面の事であつて,吾々サービス業務に直接關係している者には既に百も承知の筈であるが,さて何かを實行に移そうとするとまず第一に金がない。人がいない。資材がないと言つたようにないないずくしで,例えば折角はり切つて患者さんにはいつも鈍白な病衣を着ていて貰おう,枕カバーはいつでも眞白であるようにと思つても,雜仕婦があかぎれに泣きながら一枚一枚たんねんに手洗でやつていたのでは1日に幾枚も出來ず,大勢の患者さんにいつも滿足して貰うようには仲々出來るものではない。然もお天氣の日ばかりは続かないし梅雨どきでなくとも乾燥室の1つも欲しくなるのが落である。然し洗濯機や乾燥室を備えてもらおうと思つても,いつの日この南のはて迄廻つて來るだろうかと思う氣持が先に立つて遂々あきらめてしまい勝ちになる。
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