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病院管理の見學ところどころ
栗山 重信
pp.3-10
発行日 1951年3月1日
Published Date 1951/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200286
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I
今迄に自分の見學した病院の數は相當多いものと思う。我國内の病院も隨分多く參觀した。歐米諸國滯在中には殊更つとめて出來る丈け多くの病院を參觀する樣にして來た。其際特別に注意する項目は色々あつたとしても病院としての一般を見學し病院管理に關する點も自ら色々見學した筈である。米國にては見學に行くと特別に依頼しなくても炊事場洗濯場なども案内してくれる所が可なりあつた。然し病院管理の問題が今日の樣に強く取り上げられて見ると今迄の見學が少し漠然とし過て居た樣である。もつと突つ込んで研究し批評して自分の關係して居る部面の進歩改善の資材にすべき努力が足りなかつたと思う。病院管理上の缺點が指摘せられ改善の個所を色々擧げられて見ると其事が他の庭でどの樣にせられて居たか分らない事が多いのである。
昨年7月瑞西國チユーリヒ市で第6回図際小兒科學會が開催せられ自分は幸にして之に出席することが出來た。往復共飛行機を用いたが全日程僅かに33日で其内學會開催期間は11日であると云う極めて慌しい旅行であつた。又瑞西國以外には通過地であるローマに一寸滯在しただけで他の歐洲諸國に廻ることが許されなかつた。病院の見學に相當骨を折つたけれども其数は極めて少數となり又短時間に見學するので研究,臨床の方面を見て更に何かの管理の項目をよく尋ねようとすると時間がなくなる。結局今迄と同し樣な總体的な參觀をする樣になつてしまつた。
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