特集 第14回日本病院学会
病院学会展示場ところどころ—とくに病院設備ということを念頭において見てまわる
原 素行
1
1早稲田大学診療所
pp.44-46
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202435
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病院学会展示ということ
日本病院学会の展示場は,従来,盛況であったとはいえない。展示事始めは,第3回総会のさいであったが,学会には事務局もなく,ともかく,不手際であって,ただ1基の国産「鉄の肺」が会場玄関口に展示されただけであった。当時学会参加者は少なく,しかも演説会場を出入する人もまれで,出品者派遣の説明係員は退屈して,おおいに不満を訴えた。学会が回を重ねるごとに展示品は増加したが,とくに病院設備や用品の展示は貧弱であった。
第7回東京総会の折,展示場は第2会場として病院管理研究所に開設され,第1部は事務能率機器,第2部には病院建築設備および床材料など,第3部には病院用品および医療機械などが展示され,はじめて,病院学会らしい展示風景を呈し,おおいににぎわった。これを契期として,展示会はいささか充実するに至ったが,会期が短いためか,大型病院設備の出品が振わなかった。これに反して,医科器械類の出品が主流化した観がある。しかし,その後,医科器械の進歩は,病院医療の高度科学化を伴い,高級医療設備は,重要病院設備として数えられるに至ったと,筆者は私見として,このように考えるようになった。病院の固有の性格が,患者収容であるが,近年の世界的病院観は,病院医療の比重を増加するに至ったからである。これは,病院の診療所化傾向ではない。
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