--------------------
病院と管理(その15)—病院医師は如何にあるべきか——その2
吉田 幸雄
1,2
1厚生省医務局医務課
2病院管理研修所
pp.9-13
発行日 1950年9月1日
Published Date 1950/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200197
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
29 病院医師の人事を民主化せよ
公務員の人事を民主化する為に,人事院が出来,人事院規則によつて公務員の採用,任免を合理化することが進められていることは,その細部の方法について尚未研究の問題があり形式主義の傾向について疑問の余地がないではないが,少くともその理念については,従来の余りにも封建的な人事の取扱い方に比較したならば,人事の革命であり,大進歩といわなければならないだろう。
偖,病院の人事は何うであろうか。特に病院の生命である病院の医師の人事は民主化されつゝあるだろうか。医界は一般に保守的で,欧米に於ても最近まで医師は最も個人主義的存在であつたという。日本に於ては,病院の医師の人事は未だに封建的な存在であることは,一般の定評ではなかろうか。病院が,益々その公共性が強調せられている今日,病院医師の人事が民主化されなければならない事を一般に認識しなければならないだろう。官公立病院を含めて医師の学歴を調査するならば,如何に封建的な人事が行われているかということを認めない訳には行かぬだろう。「あの病院は○○大学系である」ということは,医師同僚間では互に認め合つている事実である。○○大学系でない病院より,○○大学系である病院の遙に多い事実を把むことは,院長の出身校又は学位授与の大学と,その病院の医長の出身校とを調査することによつて確められるだろう。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.