特別記事
ユニバーサルデザインの考え方にもとづく病院設計
髙橋 儀平
1
1東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科
pp.796-801
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200014
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■病院設計におけるユニバーサルデザインとは
特別なデザインではなく,可能な限り多くの人がともに利用できることを目標とするユニバーサルデザイン(以下,UD)の概念がわが国に導入されてから早くも20年が経過しようとしている.2000年以降の15年間でトップメーカーの製品開発や公共建築物の設計,自治体サービスにUDの考え方が数多く導入されてきた.
しかし,公共的建築物の中では特殊性が強い病院建築の場合,UDの導入はやや遅れて始まった.交通機関と同様,病院は,どのような患者や家族にも「安心」を与え,わかりやすさを伝えなければならない施設である.病院は,入院患者,外来患者,付き添い者はもとより,病院職員,医師にとっても安心感が得られ,快適である環境づくりが求められる.緊急時や自然災害など,どのような事態になっても病院に訪れる市民の願いは,医療機関こそが「安全である」という「確信」である.これが病院におけるUDのゴールともいえる.
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