特集 医療統計の再構築に向けて
厚生統計を医療政策にどう反映させるか
伏見 清秀
1
1東京医科歯科大学大学院 医療情報システム学教室
キーワード:
患者調査
,
DPC
,
医療施設調査
,
地域保健医療計画
,
医師数
Keyword:
患者調査
,
DPC
,
医療施設調査
,
地域保健医療計画
,
医師数
pp.104-107
発行日 2009年2月1日
Published Date 2009/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101377
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近年の政府の厳しい医療費抑制政策の影響で,わが国の医療提供体制は崩壊の危機にある.特に急性期医療においては,医療従事者の犠牲的な労働によって地域の医療が保たれている地域も多い.このような厳しい状況になってしまっている原因の1つは,医療の実態が正確に把握されていないことにあると考えられる.医療問題のような複雑な課題の解決には,実態の正確な把握とそれに基づく多くの知恵の結集が必要であるが,その基礎ができていないのである.例えば,近年問題となっている医師不足に関して,どの地域にあと何人の医師が必要かを示す具体的なデータはない.看護師数や病床数についても同様で,客観的な数値に基づく検討ができていない.
厚生行政の基礎となる情報が,厚生統計である.本稿ではわが国の厚生統計の概略を示すとともに,それらの情報の意義と厚生統計の抱える問題点を考察する.さらに,厚生統計の利用促進によるエビデンスに基づく医療施策のあり方を示したい.
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