連載 世界病院史探訪・15
シーボルトがポリクリ実習を行ったヴュルツブルクの2つのシュピタール
石田 純郎
1
1介護老人保健施設くつろぎ苑
pp.423-424
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102790
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シーボルト(Ph.Fr.von Siebold, 1796-1866)はバイエルンのヴュルツブルクで生まれ,1815年にヴュルツブルク大学医学部に入学した.筆者が現地で確認した当時の医学カリキュラムによると,彼は附属病院であったブルガー・シュピタールとユリアス・シュピタールで,ポリクリ実習を行って,1820年に卒業した.
1823年に長崎のオランダ商館の医師として来日し,日本人医師に医学教育を施し,日本の蘭学に大きな影響を及ぼした.引き換えに,日本の考古学,歴史学,民族学,地理学・地図,動物学,植物学,鉱物学などの莫大な資料を日本人医師から入手して持ち帰り,ヨーロッパにおける日本学の権威となった.1829年に日本や江戸城に関する秘密情報まで持ち出そうとして,シーボルト事件という疑獄事件を引き起こし,1830年に日本を追放された.
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