連載 リレーエッセイ 医療の現場から
「糖尿病劇場」って何ですか?
岡崎 研太郎
1,2
1名古屋大学大学院医学系研究科
2地域総合ヘルスケアシステム開発寄附講座
pp.407
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102786
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医療者仲間で「糖尿病劇場」という名のワークショップを開催している.糖尿病に関わる医療者の教育を目的としたもので,まず診療でよくある光景を演劇の形で上演した後に,引き続いて聴衆として参加した医療者とディスカッションする形式をとっている.正解は星の数ほどある,聴衆の皆さんが主役,他人の意見を否定しない安心安全な場作り,がモットーである.
「プリンが好きで好きでやめられない患者」「尿タンパクが出ているが血液検査に異常がないので大丈夫と思っている患者」や「急性期病棟から異動してきてイライラしている看護師」「食品交換表を立て板に水のように解説する栄養士」「薬の副作用についてしっかりと説明する薬剤師」「インスリン治療だけは嫌だという患者に当惑する医師」など多彩な人物が登場し,劇の内容も様々である.劇中に現れる医療者はみな善意の持ち主で,患者のことを考え,患者のためによかれと思ってアドバイスや指導をするが,医療者と患者の気持ちは上手く交わらず,どこかすれ違ってしまい,思うような結果が得られない,というのがよくあるストーリーだ.後半のディスカッションでは,「こんな患者さんはよくいる」とか,「この医師のここはよかった,ここはもう少しこうしたほうがいいのではないか」など会場からの意見が飛び交い,予想もしなかったようなユニークなコメントに感心させられることもしばしばである.
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