映画の時間
—あの日から私の心は晴れることがない—太陽がほしい 劇場版
桜山 豊夫
pp.779
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209256
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戦時性暴力を描いた映画はいろいろあります.2007年に公開された,ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景に描かれた「サラエボの花」は劇映画ですが,深く記憶に残る作品でした.戦時に限らず,性暴力は許されることではありません.しかし,多くの戦争で性暴力が行われきたことも事実でしょう.今月,ご紹介する「太陽がほしい」は第二次世界大戦下,中国戦線で行われた性暴力を取材したドキュメンタリー映画です.
1992年に東京で開催された「日本の戦後補償に関する国際公聴会」で証言に立った中国人女性,万愛花さんは,戦時下に性暴力を受けていたことを話していたのですが,感極まって,というか,PTSDの影響か,卒倒してしまいます.当時,日本に留学しており,テレビでその姿を目撃した,本作品の監督でもある班忠義さんは強い衝撃を受け,1995年から,性暴力被害にあった女性たちのもとを訪れて証言を得るとともに,事実関係の調査・検証を行ってきました.
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