連載 リレーエッセイ 医療の現場から
ガンマナイフがつないだ夢
林 基弘
1,2
1東京女子医科大学病院 脳神経外科
2東京女子医科大学病院 先端生命医科学研究所 先端工学外科
pp.423
発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102275
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私は脳神経外科医として,日々「頭を開けない手術・ガンマナイフ」を手がけて臨床にあたっています.ガンマナイフとは,放射線の1つであるガンマ線を手術メスのように用い,高精度(現在の機械では0.05mmの精度で照射)で病巣のみを切り取る脳神経外科の先端治療です.適応は脳腫瘍・血管障害・機能性脳疾患となっています.日々の診療を通して,頭を開けずに治せることは患者さんにとって大変な福音であると実感していますが,その中でも,とても思い出深いエピソードを綴ります.
今年2月下旬,私の外来に,18歳の男の子が久しぶりに訪れました.彼はスポーツ一家に育ち,特にサッカーはジュニアユースで世界遠征していたほどの腕前だったのですが,12歳の時,試合中にかなり強い頭痛を自覚し,救急搬送となりました.実は試合中から頭痛はあったそうですが,背番号10を背負う彼は,その強い責任感から最後のホイッスルが鳴るまで戦い続けたそうです.
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