Japanese
English
総説
本態性三叉神経痛に対するガンマナイフ治療
Gamma Knife Surgery for Essential Trigeminal Neuralgia
林 基弘
1,2,3
,
田村 徳子
1,2
,
堀 智勝
1
Motohiro HAYASHI
1,2,3
,
Noriko TAMURA
1,2
,
Tomokatsu HORI
1
1東京女子医科大学脳神経外科
2三愛病院さいたまガンマナイフセンター
3湖東記念病院滋賀ガンマナイフセンター
1Department of Neurosurgery,Tokyo Women's Medical University
2Saitama Gamma Knife Center,Sanai Hospital
3Shiga Gamma Knife Center,Koto Memorial Hospital
キーワード:
gamma knife
,
radiosurgery
,
trigeminal neuralgia
Keyword:
gamma knife
,
radiosurgery
,
trigeminal neuralgia
pp.961-976
発行日 2008年11月10日
Published Date 2008/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100831
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Ⅰ.はじめに
三叉神経痛は人間における3大疼痛の1つとして知られ,発作的な激烈痛である.これに対し特効薬として処方されるカルバマゼピン(CBZ)は,初期症例にクリアカットに奏効するも徐々に無効となり,増量されても最終的にはまったく効かぬようになってしまうことも少なくない.高齢初発例が多いことから,全身麻酔下での手術を選べずに耐え難い痛みに日々悩まされている患者は実際に多い.だからと言って,定位放射線手術(ガンマナイフ)をすぐにfirst choiceとして行うのも,われわれは決して安易に勧めない.高線量一括照射による放射線障害,つまり三叉神経知覚障害や障害性疼痛にまで発展してしまい,かえって訴えが強くなる症例が少なからず存在しているからだ.また,これを嫌えば線量設定を低くせざるを得ず,再発率が確実に高くなってしまう.単に外科手術との治療効果の比較ではなく,ガンマナイフそのものは“最後の砦”として使うべき治療と考えている.つまり,内科的治療においても外科的治療においても,これ以上有効かつ安全に行える治療が見当たらない,いわゆる「難治性本態性三叉神経痛」に対してのみ,ガンマナイフが適応となる.
本稿では,本態性三叉神経痛そのものの概念,病態と薬物動態に準拠したbest prescriptionに関して解説する.その上で,「難治性本態性三叉神経痛」に対するinclusion/exclusionを再認識していただき,本疾患に対するガンマナイフ治療法について東京女子医科大学および関連施設における300症例の経験を基に,文献および各関連学会において最近検討されている事案も含めて最大限詳細に解説していく.
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