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アフリカの奇跡!
今,アフリカ大陸のあちこちで信じられない光景が拡がっている.日本企業生まれの経営手法「5S」や「KAIZEN(改善)」,そして「TQM(総合的品質管理)」活動が,病院に浸透しつつあるのだ.例えばタンザニアでは,準首都ダルエルサラームから900km離れた奥地,ムヒンビリのムヒンビリレファラル病院に5Sが段階的に導入され,4年経った現在では30の職場改善チーム(日本でいうQCサークル)が作られ,KAIZEN活動が展開されている.政府レベルでは「5S/KAIZEN/TQM」推進国家戦略の下,5Sが主要46病院に導入され,2013年にはタンザニアの全保健医療施設(127病院と保健センターを含む)で取り組みが始まる予定だ.現在,同様のことが2007年からわずか4年で,アフリカ大陸の15か国に拡がっているのである.全46か国のうち3分の1,アフリカ大陸総人口の半数(8.2億人中4.2億人)が暮らす国々である.
一度でもアフリカの病院を訪れれば,これがいかにありえないことかおわかりいただけると思う.すべてとは言わないが,多くのアフリカの病院は永い植民地支配の影響もあって,物資がなく,職員には無気力感が漂う.そのうえ臭くて汚く,病人はもとより職員も寄りつきたがらないような場所である.それが今,変わりつつあるのだ.臭わない,きれいな,働きやすい職場に変わり,職員の目が輝き始めている.セネガルでは,何時間もかけて来院した外来患者を平気で暑天下に待たせ,挙句の果てに賄賂を渡さないと診療拒否する,さらには入院患者を怒鳴る・殴るといったことがしばしば見られた.そんな病院が,屋根のついた外来待合をつくり,にこやかに患者と接するようになったのだ.
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