特集 病院の人材確保―景気・社会構造の変化を踏まえて
巻頭言
河北 博文
1
1医療法人財団河北総合病院
pp.699
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102052
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有効求人倍率1 倍を回復.バブル経済崩壊や1990年代後半の金融システム不安で,企業は人員リストラを加速した.この十数年の企業の採用の絞り込みが,景気の持続的な回復傾向を踏まえ,さらに,団塊世代の大量退職が始まる「2007年問題」を控えて変わろうとしている.一方,求職者側は条件のよい仕事を求めて慎重に職を選択している.若年人口の減少や高齢化の進展などで構造的に細ってきた労働人口の変化がどのように医療に関わるかをこの号の特集とした.
憲法第27条には,“全て国民は勤労の権利を有し,義務を負う”と書かれている.第26条の“保護する子女に普通教育を受けさせる義務”と第30条の“納税の義務”に勤労を含めて国民の三大義務という.近年,社会問題化しているニートやフリーターの存在は,特に,若年成人の社会参加への緊張感の低下や精神的,社会的不調和の結果であると捉えられるが,期待される人々が生産現場に参加できていない損失とともに,将来の社会保障制度の維持の危機につながるものである.現在の被保障者の給付問題のみでなく,本人たちの将来の受給問題でもある.
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