特集 個人の力と医療・社会
巻頭言
河北 博文
1
1医療法人財団河北総合病院
pp.13
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101091
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2008年,おめでとうございます.
平成と改号して既に20年になる今日,社会生活の前提条件が変わってきている.良し悪しは別にして,多くの分野でグローバル化が進展した.それを推進するIT化は急速に社会生活を変えている.世界の人口が66億人となり,温暖化をはじめとする地球環境の変化も,人間を含む生物にとって一層生きづらいものとなってきている.わが国も経済成長を主体とした国家づくりから,一層価値の高い国家観を創造できるか問われている.
敗戦直後から国家の復興に際し,社会保障制度は最も重要な政策の一つであった.国民を貧困から救済することに主眼を置き,それを基本理念として“公平”という概念のもとに量的整備を図ってきたものがわが国の近代の医療政策である.その後,時代も社会も変わったが,この政策は近年でも継続されているように思える.医療制度改革も,年金制度改革も時代を先取りするものとはならず,常に後手に回ってきた.
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