特集 持つ病院,持たざる病院―法人制度から資金調達まで
巻頭言
神野 正博
1
1董仙会恵寿総合病院
pp.445
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102049
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1985 年の第一次医療法改正で示された医療計画による病床規制発動前夜,いわゆる「駆け込み増床」が引き起こり,現在の日本の病院・病床の概要が形付けられたといっていいだろう.その中で個人立診療所から有床診療所,病院へと次第に拡大していった経緯を持つ多くの民間病院において病院資産は「持分」として個人の財産であった.また金融機関にとって,病院は優良貸付先であり,資産は価値ある担保物件であった.
いま医療制度改革の波の中で病院の収益悪化とは裏腹に,これらの病院に施設の老朽化の波が訪れ,さらにはバブルの崩壊後,キャッシュフローの重視など資産の価値基準が変化してきている.この流れは公的サービスの効率化という観点においても,すべての公的サービスを公が持つ必要があるのかという形で検討されてくるのである.すなわち,持つことが強みであった経営から持たざることが強みとなってきたのかも知れない.
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