特集 長期療養ケアにおける看護の役割
医療療養病棟におけるケアの質と記録の改善の取り組みから見えたこと
池崎 澄江
1
,
森 智美
2
,
池上 直己
1
1慶應義塾大学医学部 医療政策 ・管理学教室
2株式会社メディカルプラス・コーポレイション
キーワード:
医療療養病床
,
Quality Indicator
,
治療・ケアの確認リスト
,
褥瘡
,
ADL
Keyword:
医療療養病床
,
Quality Indicator
,
治療・ケアの確認リスト
,
褥瘡
,
ADL
pp.338-342
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101685
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2006年に医療療養病床において,ADL区分・医療区分による包括評価が導入され,2008年には,病棟のケアの質を評価するため,毎月,各病棟における褥瘡や尿路感染症等を有する患者の割合を算出する「治療・ケアの内容の評価表(以下,Quality Indicators:QI)」と,それらに該当する患者のケアを具体的に提示する「治療・ケアの確認リスト」が導入された(表1).QIは,アメリカにおいて,入所者を包括的にアセスメントするMDS(Minimum Data Set)1)を用いてナーシングホームにおけるケアの質の管理と監査をする際に使われている指標を2),参照して考案された.こうした施策を受け,現場では,質を担保するケアと記録が重要となり,またケアの質である以上,看護職が中心的役割を果たすことになる.
ところが,看護職が体系的にケアの質の改善に取り組むことは,容易ではない.これまでに筆者らは,ケアの質に関する研究を行ってきたが3~5),調査期間中の協力に留まる傾向であった.本事業は2か年の2年目であり,前年度においては5),MDS/CAPs1)を参考に治療・ケアの確認リストに相当するケア指針を作成し,医師・看護師が指針に沿ってケアを確認することによって質の改善を目指した.だが,病棟において指針は十分に読まれず,効果はきわめて限定的であった.そこで,2年目の本研究では,海外での先行研究を参考に6~7),モデル事業として,外部の看護師を半年間にわたり2つの病院に派遣し,ケアの質と記録の改善を目指した8).
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