特集 長期療養ケアにおける看護の役割
認知症ケアにおける看護師の役割―教育の現場から
臼井 キミカ
1
1甲南女子大学看護リハビリテーション学部看護学科
キーワード:
認知症ケア
,
高齢者看護
,
看護教育
Keyword:
認知症ケア
,
高齢者看護
,
看護教育
pp.344-348
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101686
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介護保険が始まって10年が経過しようとしており,認知症対策は介護保険発足当初と比較すると色々な面で大きく前進してきた.しかし,自立度Ⅱ以上の認知症高齢者の数を見ると,2010年では208万人であったものが,30年後の2040年には385万人と推計されており1),尊厳を踏まえたケアのあり方や人権問題等が一層重要になり,「認知症ケア」は今後も大きな課題であり続けるものと思われる.
かつて「褥瘡は看護の恥」と言われ,看護の基本が説かれた時代があったが,それに代わって「入院して骨折は治ったが認知症は重度化した」と囁かれていることに対して,何とかしなくてはと必死の思いでいる看護職は筆者だけではないはずである.その昔,高齢者の医療費増大を問題視した米国政府が執った施策は,全米のナーシングホームに,1人の看護師を配置することであったと聞く.その結果,異常の早期発見や予防的なケアが取り組まれ,それまでは重度化してからの対処であったものが軽度のうちに対処可能となり,こうした質の高い看護がもたらした恩恵は,高齢者本人やその家族には勿論のこと,国家レベルでの大幅な医療費の削減にもつながったのである.
さて,ここでは,超高齢時代において看護師は認知症高齢者のニーズにどのように応えているのか,あるいは今後応えなければならないのかを教育の立場から考えたいと思う.
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