特集 「環境の時代」と病院
病気の環境要因―今,問題になっていること
丸山 征郎
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
pp.958-961
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101318
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ヒトはいうまでもなく,環境の生物である.環境の中には,自然も社会も含まれる.ヒトは,自然と社会に包まれながら,それらの環境の影響と呼応しつつ生活しているので,当然のことながら自然と社会の変化は,健康状態,疾病構造にも大きな影響を与える.ヒトは,生物の中でも際立って社会的側面が強いので,環境の中でも社会的環境の影響を受けやすい.
われわれは激しく移ろう社会的環境にも時々刻々と応答しながら,適応して,“巧みに,しなやかに”そして場合によっては“したたかに”生きているが,しばしば打ちひしがれて絶望する時もある.われわれはそのような環境との呼応という“ゆらぎ”の世界に居る.そして激烈な環境変化の場合にはそれへの対応,呼応に成功したものだけが,選択されて生き延びてゆく.
本稿では,特にこれら,ヒトをとりまく環境の中でも,ごく身近に“われわれを包む身近な環境”と健康や疾病の問題に焦点を絞って,問題提起とする.
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