特集 職場環境と健康管理—産業看護の課題
職場の環境要因—社会心理的要因
相澤 好治
1
Yoshiharu AIZAWA
1
1北里大学医学部衛生学公衆衛生学
pp.465-468
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900604
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに 近年,ストレスという言葉が産業衛生の面でよく使われるように,職場の健康問題の中で,社会心理的要因は無視できないものとなっている.その理由を考えると,かつて身体的な労働が主であった職場において,現在は頭脳あるいは感覚器を使う労働の比重が増えてきたり,企業規模の拡大,多角化,国際化の進行により,人事面での移動が激しくなり,労働人口の高齢化により,適応能力の低下した中高年齢者にしわよせがきているなど,複数の要素をあげることができる.
職場の中で精神的緊張をもたらす大きなものは,一つは仕事に関すること,もう一つは職場の人間関係である.しかし両者は完全に分離することは出来ない関係にある.仕事の成功や失敗の個人に対する影響は,上司や同僚の評価に大きく依存するからである.特に仕事に失敗したり,過度に疲労した状態で心理的にサポートしてくれる人がまわりにいるかいないかでは,非常に異なる結果を生じる.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.