特集 人材不足をどう打開するか
現在の病院看護基準と看護師不足解消の方向性
楠本 万里子
1
1社団法人日本看護協会
pp.490-493
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101204
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2006年度診療報酬改定における7対1入院基本料新設等を契機に「看護師争奪戦」と称されるような看護師需要の急激な増大が生じ,看護師確保がさらに困難な状況となった.これに対し2008年度診療報酬改定では,看護必要度の導入や10対1入院基本料の引き上げ等により,7対1入院基本料を算定するための看護師確保をセーブし,医療機関に適切な入院基本料算定を促す方策が打ち出された.しかし,一方で臨床現場では手厚い看護職員配置の効果も現れてきていることから,大規模病院をはじめとする看護職員確保の活動は,さらに活性化するとも予測され,看護職員確保困難について緩和の兆しすら見えないとの悲観論も聞こえてくる.社団法人日本看護協会(以下,本会)は,患者の安全を守りつつ十分な看護ケアを提供するには,7対1でも十分ではなく,小児専門病院の6対1に続く,さらに高い配置基準が必要な医療現場が少なくないとの認識でいる.
ともあれ,看護職員の確保困難が叫ばれ続けている中,本会は看護職員の就業動向およびこれまでの確保対策を見直し,2007年度からは看護職員がどのような状況にあっても働きつづけることができる職場づくりを目指した活動「看護職員確保定着推進事業」を展開している.本稿では,その中の「多様な勤務形態導入モデル事業」を中心に紹介する.
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