特集 医療に求められるイノベーション
医療・健康サービスの振興とイノベーション
竹廣 克
1
1経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室
pp.120-125
発行日 2008年2月1日
Published Date 2008/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101115
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イノベーションとは,非常に捉えづらい概念である.特に医療分野でイノベーションを議論する場合,医薬品や医療機器などいわゆる医療技術の発展に焦点が当てられることが多く,政府においても,新たな診断や治療を可能する技術の開発をいかに支援するかに多くの議論が割かれてきた.当然,このような技術が医療の質・国民の健康増進に果たしてきた役割は測りしれないものがあるし,国民のニーズの拡大はとどまるところを知らず,がんの早期発見・早期治療など,医療技術に対する期待はますます加速しているのが現状である.
経済の観点からみても,世界的に高齢化が進む中,医薬品・医療機器産業は,国内外で需要の大幅な拡大が期待される数少ない産業の1つでもあり,日本経済の成長の担い手としての期待は大きい.2007年5月には,経済産業省・厚生労働省・文部科学省の3省にて「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」を取りまとめたが,高齢化の進展など経済成長に対する様々な制約要因がある中,これらの要因を新たなイノベーションの機会に変え,新しい価値を次々と生みだしていくエンジンとしての役割を果たす産業として期待が高まっている.
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