特集 価格とコストの地域格差
精神科病院における地域格差
平川 淳一
1
1医療法人社団光生会平川病院
pp.755-760
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101014
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仲間うちで地域差問題を論じる時,最終的には「自らの地域が最も厳しい,たいへんだ」という話になる.いわゆる「貧乏自慢」である.ある病院経営者は「うちの地域では看護師が不足して,基準を維持できない.給料を上げたり,広告宣伝やら,お金がかかる」という.また,別の経営者は「うちは医師が不足して,たいへんだ.医師の給料に比べれば,看護師の給料なんて安いものだ.うちのほうがたいへんだ」という.さらに,別の経営者は「うちは看護師も医師も足りないうえに,患者もいなくなってきた.一生懸命,長期在院者を退院させてきた結果,病院経営が厳しくなった.いったいどうなっているんだ」という.
医療経済学者ではない私には学術的に議論を展開することは難しいので,このような現場の視点で,入院基本料や給与について比較しながら,看護師・医師需給問題を,また病床利用率,食材料費のデータも加えて,地域差を考えてみようと思う.資料は,日本精神科病院協会(以降,「日精協」と略す)の総合調査のデータを使用する.本来ならば都道府県単位での数値が望ましいと思われるが,使用可能サンプル数が極端に少ない地域もあり,表1に示すようなブロック単位での比較とした.ただし,東京,大阪,福岡,広島・岡山については個別に数値を示してみた.
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