特集 価格とコストの地域格差
介護保険施設における地域格差
難波 眞
1
1医療法人社団幹人会 介護老人保健施設「菜の花」
pp.761-764
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101015
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都が国に緊急提言
現在,医療・介護・福祉に対して財政主導による圧迫が加速してきている.介護報酬の締め付けによって,「官製ワーキングプア」にならざるを得ない現場で働く職員たちは,自分の将来を悲観し転職を考えている.今年5月30日に東京都福祉保健局は,厚生労働省に対して「介護保険施設に係る介護報酬の地域格差等に関する提言~大都市東京で安定的な施設経営が成り立つ介護報酬とするために~」 を行った(http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/05/20h5v700.htm) .
主な提言の内容は,①介護保険施設の人件費比率の設定を引き上げるべき,②賃金水準の地域差をより適正に反映すべき,③物価水準等の地域差を新たに反映すべき,④定員規模に応じた段階的な報酬設定とすべき,⑤離島等の特養への特別地域加算を創設すべき,というものである.根拠となる数字は東京都福祉保健局が調べたデータ(東京都社会福祉協議会高齢者施設福祉部会では平成12年度以来,毎年「特別養護老人ホーム経営実態調査」を行っている)のほか,厚生労働省「介護事業経営実態調査」や,厚生労働省が医療経済研究機構を通じて実施した「介護報酬改定後の介護保険施設の経営状況調査」,財団法人介護労働安定センターによる「事業所における介護労働の実態調査」などを基にしている.
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