特集 価格とコストの地域格差
巻頭言
猪口 雄二
1
1寿康会病院
pp.725
発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101007
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近年,病院経営は厳しさを増すばかりである.それは,相次ぐ診療報酬の引き下げや,医療安全・質向上に多くの時間を要するようになったこと,医師臨床研修の必修化により医師の偏在が顕著になったこと,そして平成18年診療報酬改定における7対1看護基準の創設により看護師不足が顕著になったこと,など様々な要素に起因していると考えられる.
実際に中小病院においては,過去には例を見ないほど廃院が増加しており,大規模病院でも医師不足により診療科が存続できない病院が続出している.さらに,人口過疎地域では公立病院であっても存続不可能となっている.東京近郊においては,経済活性化により平均給与が上がり,現行の診療報酬では赤字になってしまう病院の方が多い.介護施設では給与の低さにより,多くの介護職員が他産業に流出してしまい,慢性的な人手不足となってしまった.
このような現状において,診療報酬では1%にも満たない「地域加算」が存在するのみであり,介護報酬の「地域区分」は人件費を補うことはできない.
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