特集 病院にとって「患者の視点」とは
巻頭言
猪口 雄二
pp.877
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102042
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「患者の視点」という言葉は,厚生労働省医政局の「医療提供体制の改革のビジョン」の主要項目の一つとして「患者の視点の尊重」に使用されている.また,同省保険局の「診療報酬体系の基本方針」においても「患者の視点の重視」と書かれている.これらは,診療情報提供の促進やEBM に基づく医療提供の促進を意味するものと考えられる.
一方,医療には「情報の非対称性」があると言われている.確かに医療本体については,一般の人には理解し得ないような専門的なことが多い.医療行為に対しては「説明」と「納得した上での同意」が必要であることは明白である.しかし,情報が非対称なのは医療に限ったことでない.食料品の安全性や産地,飛行機事故の確率,車の性能,など身近なことでも非対称な情報は山ほどある.しかも,安全を信じていた列車事故なども発生してしまった.
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