連載 事例による医療監視・指導─院内感染・医療事故予防対策・11
院内感染立入検査の事例から・1
桜山 豊夫
1
Toyoo Sakurayama
1
1東京都健康局医療政策部
pp.168-169
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100772
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1999年に都内 A 区の S 病院でセラチアを原因とする院内での集団感染が発生し,数名の入院患者が死亡する事例がありました.2002年には都内 B 区の I 病院で同じくセラチアを原因とする院内集団感染が発生し,やはり数名の入院患者が死亡するに至りました.東京都健康局では,従来から医療法に基づく立入検査の際に,院内感染予防対策についても力を入れて監視・指導を行ってきましたが,I 病院における院内感染事故発生の際には,都立病院の感染症科専門医の応援を得て特別医療監視チームを編成し,I 病院に対して立入検査と指導を行いました.
他の病院においても,集団感染とまではいえないものの,散発的な院内感染事例について,筆者らの部署には多く相談が寄せられます.以前から院内感染が多かったのが表面に出なかっただけなのか,あるいはなんらかの理由があって院内感染が多発するようになったのか,それはわかりませんが,院内感染予防対策については I 病院だけの問題ではなく,都内の全医療機関の問題であると考えられました.東京都健康局では早急に対策を講ずる必要があると判断し,I 病院への立入検査で得たノウハウを活かして,2002年度に都内の全病院を対象として院内感染予防対策のチェックを目的とした立入検査を行いました.
この立入検査の結果について2号に分けてご紹介したいと思います.
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