連載 事例による医療監視・指導─院内感染・医療事故予防対策・2
診断の遅れによる結核の院内感染事例
桜山 豊夫
1
1八王子保健所
pp.418-419
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100617
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今年はもう過ぎてしまいましたが,3月24日は「世界結核デー」です.1882年3月24日にベルリンで開かれたドイツ生理学会において,細菌学者のローベルト・コッホ博士が,結核症の原因と考えられる桿菌について発表しました.この菌が後に「結核菌」と呼ばれることになります.このことを記念してWHO(世界保健機関)は3月24日を世界結核デーとしました.毎年,全国で世界結核デーを記念した講演会が開催されています.今年は東京で記念シンポジウムが開催された他,仙台で結核予防全国大会が開かれました.
結核はかつては国民病と言われたほどに蔓延しており,1950年代には治療を必要とする結核患者が約300万人という調査結果もありましたが,その後結核検診やBCGの普及,抗結核薬による治療法の進歩などにより,1970年代後半までは順調に減少していきました.その結果,社会全体においても,あるいは医療関係者の間でも結核に対する関心は急速に低下しました.しかし,コッホの発見した結核菌の性質が変わったわけではなく,関心の低下とともに1980年代からはわが国の結核患者の減少は鈍化し,最近はほとんど横ばい状態と言えます.
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