連載 事例による医療監視・指導─院内感染・医療事故予防対策・1
セラチアによる院内感染事例
桜山 豊夫
1
1八王子保健所
pp.334-335
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100599
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筆者は2000年から2001年にかけて,本誌に「事例による医療監視・指導」を連載し,医療法に基づく立入検査の事例などをご紹介いたしました.その最終回でも触れたのですが,医療法では医療について「生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし,医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき,および医療を受ける者の心身の状況に応じて行われる」と規定しており,医療監視はこの理念を実現すべく,医療の担い手と医療を受ける側との間で信頼関係が形作られ,良質かつ適切な医療が提供されることを目的として行われています.
連載終了後も読者の方からいろいろご質問をいただくこともあり,また連載終了直後の2002年には東京都内でセラチアによる院内感染が発生し,入院患者が何人か生命を落とされるという事件もありました.それを受けて東京都衛生局(現健康局)では特別区保健所,東京都保健所と協力して都内全病院を対象として院内感染予防を目的とした緊急の立入検査を行いましたが,セラチアによる院内感染については前回の連載の中でも注意を喚起していただけに筆者としても残念でなりません.
現在,筆者は保健所に勤務しておりますが,全国保健所長会の設置した医療監視に関する研究班において,医療法に基づく立入検査のあり方についての検討をお手伝いさせていただいております.今回読者の方からのご要望もあり,また本誌編集部のご配慮により再度連載の機会をいただきましたので,医療監視の実例をご紹介しながら,院内感染,医療事故の予防などについて述べさせていただきたいと思っています.
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