特集 特定療養費制度の拡大と病院の対応
病院経営における特定療養費制度―東京都23区内の病院の立場より
猪口 雄二
1
1医療法人財団寿康会
pp.550-553
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100640
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平成14年診療報酬改定は,かつて経験したことのないマイナス改定であった.マイナス2.7%といわれていたが,それは診療報酬単価での話であり,医療費全体のマイナス幅はこれを大きく上回ると思われる.
まず,平成14年4月からの薬剤投与期間の自由化は明らかに外来受診回数を減らした.多くの医療機関では,処方期間が2週間処方から4週間処方もしくはそれ以上に延長されたと予想される.寿康会病院では,延べ外来患者数は前年対比約5%減った.
さらに同年10月からの老人医療費自己負担定率化は受診抑制を生じ,同時に行われた外来総合診療料の廃止は,中小病院および内科系診療所の収入を激減させている.当院では内科外来単価が約15%減り,全体では3.5%程度の収入減となった.
一方,同年10月からは,長期入院に特定療養費制度が導入された.これは除外規定に当てはまらない180日を超えた入院の場合,入院基本料などを特定療養費化し,自己負担率を5%から15%へと増やしていくものである.
この診療報酬改定に利用された特定療養費制度とはどのようなもので,病院経営にどのような影響を与えているのか.また今後,特定療養費はどのようになっていくのであろうか.病院協会の経営調査結果などを踏まえ,東京都23区内で病院を運営している立場から考察する.
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