連載 リレーエッセイ 医療の現場から
プライマリ・ケアとは聴く力なり
石本 浩市
1
1あけぼの小児クリニック
pp.1039
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100439
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私の住んでいる高知県は太平洋に面した東西に幅広い県であるが,北方の四国山地が海に迫り平野部はわずかしかない.その狭い平野部の中央に位置する南国市の高知龍馬空港のすぐ近くに,私のクリニックはある.温暖な気候を利用して,私が子どもの頃まで米を1年に2回作る2期作が行われていた土地である.農家の次男坊として生まれ,医療というまったく未知の世界に入って30年の歳月を経た5年前に,故郷に帰って開業した.
1978年に医師になって以来,母校の順天堂大学では小児科医として主に小児がん患者の診療に従事してきた.1960年代まではほとんど助かることのなかった小児がん患者も,医学の進歩により,今はその70%は治癒するようになった.そして,20年以上前に私たちががんと診断した子どもたちは,今,成人期を迎えている.
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