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New Books 病を引き受けられない人々のケア—「聴く力」「続ける力」「待つ力」
数間 恵子
1
1前・東京大学大学院・成人看護学分野
pp.515
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200179
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本書は,『糖尿病診療マスター』誌に2004〜2013年にわたって掲載された石井均氏による各界泰斗との対談から,特に氏の心に残るものが取り上げられ,まとめられたものである.対談は糖尿病とその治療あるいは関連領域にとどまらず,他領域の先達とも行われ,河合隼雄氏,養老孟司氏,北山修氏,中井久夫氏,中村桂子氏,門脇孝氏,鷲田清一氏,西村周三氏,皆藤章氏の面々が登場する.
対談では,各氏がどのようにしてそれぞれの領域を拓いてこられたかのライフヒストリーが語られる中で,ヒトや社会をどう見ているかが示され,そこから,共通する糖尿病の人々への支援の核心に迫り,支援に求められる基本的態勢が浮かび上がってくることに気付く.糖尿病の人々,特に症状もなく,いわゆる古典的な苦痛症状を体験していない人々が糖尿病を自分のものとして「引き受けて」生きて行くことを支えるには,外的基準(検査結果の数値)による糖尿病学ではなく,「糖尿病医療学」が必要であり,その領域を拓き,確立することが急務であると説かれている.
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