特集 医療の本質を捉える
アレキシス・カレルの現代性―『人間―この未知なるもの』に学ぶこと
渡部 昇一
1
1上智大学
pp.14-17
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100219
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「この本は古くなるにつれて,ますます時宜を得たものになるという逆説的運命パラドキカル・デステニィを持っている」
と,アレキシス・カレルは1935(昭和10)年に出して世界的名声を得た自著『人間―この未知なるもの』の1939(昭和14)年の新しい序文の中に述べている.自分が書いた本について数年後にこのように言えることは,物を書く人間にとって最も幸せなことであろう.
ところで,カレルがこの本を書いてから今年でほぼ70年経つ.そして彼のこの本は「ますます時宜を得たものになる」という逆説的運命をいっそう明らかに示してきていると言えよう.それはなぜか.それは『人間―この未知なるもの』の序文に暗示されている.
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