特集 医療の本質を捉える
変わっていく医療
日野原 重明
1
1聖路加国際病院
pp.18-22
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100220
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
私は昭和12年に京都大学医学部を卒業して国家試験なしに医師免許証を交付された.ところが,昭和23年からは GHQ 司令部の軍医 Sams 准将の指導で,医学部卒業後1か年のインターン研修を終えた者で医師国家試験をパスした者に医師免許証が下付されることになった.しかし,この制度は昭和45年をピークとする学生運動の影響を受けて崩壊し,昭和46年からは卒業直後に医師資格試験が旧厚生省の指導の下に行われ,希望する者のみに2か年間の教育病院での研修を受けた後の医師は大学の研究・教育職に就くか,病院の勤務医になるか,開業医,すなわち実地医家となったのである.これらの各種の医師がそれぞれの能力に応じた医療を行うことになったのである.その後,一定の研修を終えて各学会による臨床実力の査定の下に,学会認定医または専門医の標榜を公示できることが許されるに至ったのである.
日本の現在の医療は,上記の様々のレベルの医師によって実践されているのである.そこで,日本における医療の現状の何に問題があるか,その改善はどのような方向に向かっているか,その改善を阻止しているものは何かということに触れ,日米の医療の実態を比較しつつ,日本の医師の向くべき方向などについての私見を述べたいと思う.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.