特集 超高齢社会の終末期ケア
緩和医療における意思決定と倫理的問題―英国における終末期医療関連ガイドラインから
児玉 知子
1
,
志真 泰夫
2
1国立保健医療科学院政策科学部
2筑波メディカルセンター病院緩和医療科診療部
pp.127-131
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100165
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近年,終末期における延命治療中止と関連した司法判断が下されており,社会的にも大きな関心が寄せられている.特にがんの場合は,終末期も含めた患者および家族・介護者等の身体的・精神的苦痛を軽減する緩和医療のあり方が問われており,この分野での医療提供体制整備や人材養成が急務との認識が深まっている.終末期医療における意思決定のあり方を問う際には,まず患者自身やその家族・介護者が十分な情報提示を受けたうえで,主体的に意思決定が実現されるような医療体制の整備が必要と考えられる.
本稿では,法律的な整備も視野に入れた議論として,国や州政府による「制定法」で緩和医療や終末期医療の問題に対応している米国,オランダ,オーストラリア,カナダ等の国々と異なり,裁判の判例を積み重ねて法律とみなす「慣習法(Common Law)」を拠り所とし,緩和医療の先進国でもある英国の状況を紹介し,今後,わが国一般社会での議論が深まり,広く国民的合意が形成されることを願いたい.
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