特集 超高齢社会の終末期ケア
Quality of Life の向上を目指した終末期ケア―症状マネジメントと生命維持機能の支援を中心に
田村 恵子
1
1淀川キリスト教病院ホスピス
pp.122-126
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100164
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わが国において,終末期で死にゆく過程にある患者へのケアに関心が払われるようになって30年余りが経過し,終末期がん患者に対するケアとしてホスピス・緩和ケアのコンセプトが浸透しつつある.改めて記すまでもないが,緩和ケアとは,世界保健機関の定義1) にもあるように,「治癒を目的とした治療に反応しなくなった疾患を持つ患者に対して行われる積極的で全人的なケア」であり,「その目標は,患者と家族にとり可能な限り良好なQuality of Lifeを実現すること」である.したがって,終末期における医療の目的は,患者が病により体験する痛みや苦しみを積極的に緩和することで,患者と家族のQuality of Life(以下,QOL) をより良くすることである.すなわち,緩和ケアでは人間の生命を尊ぶまなざしを前提として,個々がどのように生きるかが優先されている.
本稿では,終末期におけるがん患者と家族のQOL向上を目指してケアが実践されているホスピスや緩和ケアの場で,患者が体験している症状や苦悩をどのように緩和しているかについて,基本となる考え方と淀川キリスト教病院ホスピスでの実際について説明する.
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